2019年12月24日火曜日

ちいさな心をなぐさめる/ことばを知らなかった時の記憶

 
 
夫とのあいだで、大事にしているぬいぐるみは
昨年、100円ショップで見つけて
妙なかわいらしさに連れて帰りたくなったクマのぬいぐるみの形をした
ティッシュカバー

名前をつけたら愛着が生まれ
どちらかがクマに話しかけると
どちらかがクマになった調子で応える、ということが
自然発生した。
 
なんとなく、私たちの幼い心を
肩代わりしてくれているような気もして
クマはだんだんとワガママで天真爛漫な性格になっていった。
唐突に怒ったり、拗ねたり、高慢な態度をとったりする。
かと思えば、寂しがったり、甘えてきたり。
 
ちょうど去年の冬にやってきたから
ふと思いつきで、1歳の誕生日ケーキを焼いてみた。
 
それで昨晩は、彼(クマ)のお誕生会だったわけだ。


オーブンがないのでトースターで焼いたガトーショコラは
心配をよそに美味しく焼けて
チョコチップクッキーにチョコペンでHAPPY BIRTHDAYと書いて
ケーキにのせた。

なんだか彼も喜んでいるように見えて、楽しい食卓になった。



子どもの頃、こわい夢を見るのがいやで
私は毎晩、枕のまわりにぐるりとぬいぐるみを置いて
彼らに守ってもらいながら眠った。

いつも横で眠ってくれた、いちばん好きだったのが
家族旅行で出かけた清里で買った牛のぬいぐるみで
とても好きだったのに、いつ手放してしまったのか覚えがない。

最近、ふとそのぬいぐるみのことを思い出す。

どうして手放してしまったのだったか。
手放してしまった時ことも覚えていないくらい、
私の関心がそのぬいぐるみから離れてしまっていたのだろう。

そういえば、眠ることは怖くなくなったし
「明日起きたら全部がないかも」とか「眠ったらもう目を覚まさないかも」とか
「次に目が覚めたら全く違う世界にいるのかもしれない」
そんなことを思って切なくなることもなくなった。


今、充分な大人になって
夫との間でクマのぬいぐるみを大切にしながら
私は毎日、小さく慰められている気がする。

家を出るときに、暖房を切った部屋で寒そうに見えるクマを
日当たりのいい窓辺に置いたり
ブランケットにくるんだりする。

夫もまた、そうしていて
ふと家に帰ってくるとブランケットにくるまれたクマを発見したりする。

わたしたちは どこへも向かっていない

ちいさく あたためて
ちいさく なぐさめて

たたんで ひらいて

日暮れて また朝がきて

火をつけたり 消したりしている

 

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