4月1日
朝、6時10分ころ起きたら娘も起きたので
布団にくるまりながら授乳する。
そのまま娘が眠るかと思ったら起き出したので、6時半になって家族みんなで起きる。
今日から娘は保育園。
9日まで慣らし保育で少しずつ登園時間が長くなっていく。
今日は午前中の2時間半。
3月に入ってから、
今までずっと娘の変化に必死に追いつくように走ってきたのが
前方からも(環境の変化)という変化が迫ってくるように感じられて
わたし自身の心がとっても不安定になっていた。
あたまでは
「娘が保育園へいくことは必要なこと」
「とにかく活発で好奇心旺盛な彼女にとって、私とふたりで過ごすよりもたくさんのお友達とたくさんの先生と思い切り遊べる時間の方がきっと豊かになっていくだろう」
「わたし自身にとっても、きっと心身に余裕が生まれて暮らしやすくなると思う」
と、4月からの環境変化に対して、良い面を挙げられるのだけれど
寂しさや戸惑いや、
変化に必死で対応してきてまた変化が待ってるというプレッシャーに
どうしても飲み込まれてしまっていた。
もうダメだーとなっていた3月後半、
夫が「水族館へ行こう」と行ってくれて
家族3人で水族館へ行って楽しい時間を過ごしたり
昼間の喫茶店でおこなわれた夫のライブを娘と一緒に観に行ったりして
楽しい時間を過ごせたことと
そして埼玉から両親が遊びに来てくれて娘も笑顔のひとときを送って
なんとか波を乗り越えるように過ごしてきた。
両親が帰って、夫も仕事だった昨日、3月最後の日は
寂しさと戸惑いで体がいたいくらいになってしまった。
娘の手前、どーんと安定していたかったけれど、心がちぎれそう。
買い物へ行きがてら、娘を抱っこしながら散歩して
その道すがら、娘に話しかけてみる。
「明日から、保育園へいくよ。
保育園には優しい先生とお友達がたくさんいて、きっと楽しく過ごせると思うよ。
お母さんは、これからも家族3人で楽しく暮らしていくために、お仕事へ出かけるんだ。
何があっても、お父さんもお母さんも、娘っこをいつでも見守っているからね。
お母さんも正直戸惑っているし、寂しいんだ。でもひとまずやってみよう。
もしダメだったらまたその時考えよう」
そう話しかけながら、
そうだ、ひとまずやってみよう。
きっと楽しくなると思うけれど、本当にそうかはわからない。
不確かな場所に何も知らない娘を置いてくるのだから、不安になるし
戸惑うのも当たり前だ。
行ってみればわかる。行ってみてダメならやめたらいいし
とりあえずやってみたらいいんだ。
そう思えるようになった。
午後になって、娘の通う保育園の先生から
連絡用のラインに写真とメッセージが届いた。
「明日、もし良ければ奥の部屋でお写真が取れるようにしていますので、お時間があれば上がってください」
というメッセージと
「おめでとう」という文字と
紙で切り貼りした動物や太陽の飾りが賑やかに貼られた壁の写真。
そして
「娘さんのマークはいちごです」と
娘の荷物をいれる棚に、
娘の名前といちごのフェルトでできたマスコットが貼られている写真も添えてくれた。
そのメッセージと写真を開いて
嬉しさで胸がいっぱいになって涙が出てきた。
それと同時に、とってもほっとした。
(娘を待っていてくれてる)
そう思えた。
同じメッセージを受け取った夫から
「居場所を用意してくれてる、と感じるとホッとするね」とラインがきて
うんうん、とうなずく。
娘をぎゅうっと抱っこして、夫と3人、ずーっと走っているみたいだったけれど
私が手をはなしても
娘自身を受け入れてくれる場所が
ひとつ生まれたっていうことなんだって、ホッとしたし
あぁ、すごいことだって思った。
とはいえ、今朝起きてからは緊張でお腹が痛くて痛くて
多分、私の空気を察してか娘もぐずっていた。
8時過ぎ
夫も一緒に家を出て
練習したての電動自転車のかごに娘を乗せる。
私はお昼寝布団を入れた袋を背中に背負い、娘の着替えやオムツの入った袋を下げて
大荷物で自転車を漕ぐ。
ぐずっていた娘も、自転車を漕ぎ始めると嬉しそう。
自転車の娘が乗っているかごのフチに、娘が小さな左手をかけていたから
私も左手を伸ばして、娘の手の上に重ねた。
ふやふやとやわらかい手。
途中で手を離したら、娘が手をひらひらとさせたので
また手を伸ばしてそっと重ねた。
通り道沿いのお寺の桜が綺麗で
「みぎに見えますのは〜、ほらほら、桜がきれいだね」って話しかける。
ヘルメットをかぶった娘の後ろ姿にむけて。
よく晴れて、桜は綺麗。朝の冷たい空気。明るい日。
娘の通う小規模保育園の前につくと、通園する他の親子と一緒になって
一緒に玄関にあがらせてもらうと
園長先生が出てきて出迎えてくれた。
0歳から3歳までのこどもたちが10人ほど一緒に生活している、
普通のおうちのような小さな園。
入園式のような特別なことはなくて、今日のいつも通っているみんなにとっては
「普段と同じ1日」
娘を連れていくと、もうこどもたちの賑やかな声が部屋の中を跳ねていて
その声を聞いたら、心がふっと軽くなった。
娘も「ここどこだ」という顔をしつつも、なんとなくナチュラルな様子。
先生に促されて、荷物を棚につめて
奥のお部屋の、飾りの前で写真を数枚とってもらって
「じゃあ、またあとで」という感じでバタバタと別れてきた。
娘は何もわからないまま、園長先生に抱っこされていた。
他の子の通園と重なった小さな玄関でバタバタとバイバイしてきた。
娘のおりたからっぽのかご
自転車を漕いで家に戻ってきた。
なんだかまだ、ポーッとしたまま、夫に報告し
さっきスマホで撮ってもらった写真を送って
この文章を書き始めた。
書いている途中に、「あ、洗濯があった」と思い出して
洗濯機を今まわしている。
わたししかいない部屋に入ってくる光はやわらかくて
こんなに静かだったっけ、という感じがする。
洗濯機のまわる音、こんなに大きかったっけ。
ゆっくり、ゆっくり、慣れていこう。
身を投じるようにして
今はもう、新しい空気の中。