2020年11月11日水曜日

  

 

春から通う予定でいる娘の保育園の願書を提出した。

銀杏並木が黄色く明るくて

外の自転車を綺麗に並べ直していた先生に願書を渡すと

「銀杏も黄色くなって、こどもたちと見に出てきたりするんですよ」

と、先生が言った。

 

ひとつ、ひとつ。

 

 

数日前、夫との些細なやりとりがきっかけになって

悔しさが湧くほどカーンと怒りが出てきた。

夫と、そのことについてやりとりをしていると

「他にも我慢したりため込んでいることがあるんじゃないか。聞かせてね」と言われる。

でも、自分では我慢しているかんじも思い浮かばないでいた。

それでも、怒りをぶつけてしまったことや、自分から思いがけない怒りが出てきた衝撃が余韻になって、心がぼんやりしてしまう。

気力がごそっと抜けて、娘のことをまっすぐ見られなくなってしまう。

すると娘は、微妙な心許ない感じの笑みを浮かべて

ふだんは穏やかなのに、その日は珍しく泣いた。

 

 

なんだろう、この感覚は…。と思いながら

「今日何もしないで眠れば、多分治ると思う」と思い、

夕ご飯はスーパーのお弁当。

夫はオレンジジュースと鉄分の取れる飲み物を買って帰ってきてくれた。

 

 

娘を寝かしつけた後も、足場がごそっと抜けたような感覚があって

夜中、授乳の後に台所で牛乳を一杯飲んだ。

ぼんやりしたまま、本棚からウィリアム・サローヤンの「パパ・ユーアクレイジー」を取り出して読む。


久しぶりに読み返し、本の中の世界に安心し

新鮮な好きな空気が湧き立つのを感じた。

 

夫がトイレに起きてきて、また布団に戻っていったので

ついていって同じ布団に入り込む。

 

ぽつりぽつりと夫に話しを聞いてもらっていたら

自分でも気づいていなかった言葉が出てきた。

 

 

離乳食を始めよう、って思って調べると

離乳食の始め方が綺麗な写真付きで載った本があって

離乳食を作るために必要な道具が載っていて

インターネットで調べると、いろんなメーカーからたくさん出ていて

口コミを見ていいものを選ぼうとすると、いいと言う人もいれば、悪いと言う人もいて

どれがいいのか分からず決められない。

 

母乳以外の水分補給ができるように、とマグでの水分補給を始めよう、と考えると

マグのタイプもひとつだけではなくて、ストロータイプもあれば、

ストローの前に、というスパウト、というタイプがあり、

さらにスパウトとして使えるし、哺乳瓶の乳首につけかえられる、というタイプもあり

それもまた、ものすごくたくさんのメーカーから何種類も出ていて、

口コミを見るとやっぱりいいと言う人もいれば、悪いと言う人もいて、

こぼれる、とか、よく飲んだ、とか、いらない、とか

たくさん書いてあって、決められない。

 

どれにしたらいいんだろう、って、何日も何日も、調べてる。


「さっき久しぶりに小説を読んだら安心した。

あれはいい、あれはよくない、ってことが書いてないから」

 

そう言いながら、涙が出てきた。

 

「本当は、別に、なんでもいいんだと思う。自分が子どもの頃に、それがあったのかも分からないし。今日児童館でも、わたしあれを使ってて、あれを買いましたって話があって、そういうのが、もうしんどい」

 

でも、話しているうちに、軸に触れてくる。


「本当は、お母さんに離乳食どうしてた?って聞いたら、おじやばっかりだったなって言われて、それでいいんだって思う」

 

そうだ、それで、いいんだって思う。

 

 

なんだか、なんだか、なんだか


安心した。

 

「他にも不安に思ってることある?」

と夫に聞かれて、

ちょっとずつ言葉になる。


 

自分では頑張ってるつもりがどこにもないことが

小さく小さく重なっていたんだって思った。

 

ベビーカーのことも。


義姉が、腰が座ってから使える軽量のベビーカー(ベビーカーも、A型、B型、AB両用、とあって、腰が座る7ヶ月頃から使えるのがB型。その前から使えるのがA型。本当に、もう、ややこしい!)をくれる予定だからと

短いかもしれない期間、やっぱり必要だから、とメルカリで安く買えたA型ベビーカー。


綺麗に梱包されて届いて、ベビーカーだけじゃなくて、

クッションや、ブランケットをとめるクリップなんかも付いていた。



軽くて、娘も楽しそうに乗って、夫と「いい買い物ができたね」と嬉しく話していたのに

児童館やスーパーへ行くと

新しい、なんだかスタイリッシュなベビーカーを引いているお母さんたちがたくさんいて

生地がちょっと日焼けしている、娘を乗せているベビーカーを少し、恥ずかしく感じたり。



でも、でも、でも


全然そんなこと、感じる必要なかったんだって

夫に話しながら、無駄なものが、落ちていった。



自分たちの、ひつようにぶつかって

考えて、話して、決めて

他にもたくさん選択肢はあるように、そう思えるけれど

本当はたぶん、そうであって、そうじゃない。

自分たちの道の流れで、手のひらにやってきたものを手にとるだけ。


道の流れの上のこと、ひとつひとつ浴び、泣いたり笑ったり、様々に感じ

歩いてるだけ。



そういうこと。



揺れながら、揺れながら、

落ち着いてくる。

 

 

 

その翌日は、前の日に不安な気持ちにさせてしまったかもしれない娘と

たくさん、遊ぼう。と思ったら

「抱っこして」の両手を開くポーズを娘は繰り返し

そのたび抱っこしていたので、ほぼほぼ1日、抱っこしていた。

娘が夫に抱かれても、私に抱かれても、たくさんたくさん眠るまで

よく動いて笑っていたので、わたしもポカポカ、あたたかくなった。

0 件のコメント:

コメントを投稿